無伴奏フルート・ソロの小品として有名な『シランクス』は、舞台劇の中の一曲として作曲されました。
儚くも美しい、ミステリアスな魅力を持った名曲。
コンサートのレパートリーやアンコールピースとして広く親しまれています。
目次
楽曲解説
日本語タイトル | シランクス(パンの笛) |
原語タイトル | Syrinx |
作曲者 | クロード・ドビュッシー |
作曲年 | 1913年 |
演奏時間 | 2分-2分30秒 |
ドビュッシーが作曲し、フルート奏者のルイ・フルーリー(1878-1926)に捧げられました。
フルーリーによって初演され、独占演奏の権利も持っていたことから、フルーリーが生涯を終えた1927年にジョベール社より楽譜が出版されました。
元々は『パンの笛/Flûte de Pan』というタイトルでしたが、出版する際に、既に『パンの笛』という題名のドビュッシーの歌曲が存在したため『シリンクス』と改題されました。
この曲はガブリエル・ムーレの舞台劇『プシュケ』の付随音楽として作曲されました。
劇中で演奏される際には「フルートは舞台袖で演奏するように」というムーレによる指示があります。遠くから聞こえる笛の音を聞きながら、舞台上で水の精霊が会話をするというシーンです。
おすすめの楽譜
有名な曲なので様々な楽譜が出版されていますが、本格的にこの曲を学ぶのであれば「原典版/Urtext」の表記があるものをおすすめします。
原典版の一例として、ヘンレ版・ユニヴァーサル版・ベーレンライター版・ウィーン原典版があります。
原典版(ヘンレ版)
無伴奏ソロを色々吹きたいなら
無伴奏フルート・ソロを色々吹いてみたいなら、下記の名曲集にもシランクスが収載されています。
名曲がたっぷり詰まった曲集です。
無伴奏ソロを31曲収載
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- エコー/オトテール
- 幻想曲第1番 TWV40:2 (『12の幻想曲』より)/テレマン
- 幻想曲第6番 TWV40:7 (『12の幻想曲』より)/テレマン
- 幻想曲第7番 TWV40:8 (『12の幻想曲』より)/テレマン
- パルティータ BWV1013/J.S.バッハ
- カプリチオ QV3:1.13/クヴァンツ
- ロンドーによるジグ/ブラヴェ
- ヴィヴァルディの春/ルソー
- ソナタ イ短調Wq132/H562/C.P.E.バッハ
- モーツァルトの歌劇『ドン・ジョバンニ』より「奥様お手をどうぞ」の主題による変奏曲/メルカダンテ
- 幻想曲第1番 op.38-1 (『3つの幻想曲』より)/クーラウ
- ブラーニーの木立/リンジー
- 風の歌 (『8つのサロン風エチュード』より)/ドンジョン
- エチュード第3番 op.15-3 (『24のエチュード』より)/アンデルセン
- パンの笛 (シランクス)/ドビュッシー
- パルティータ op.51/ラウバー
- 「誤謬」と「軽率」が矢を乱れ打ち… op.198-7 (『ネクテールの歌 第1集:アナトール・フランスの「天使の反逆」による32の小品』より)/ケクラン
- 勝者の笑い op.198-8 (『ネクテールの歌 第1集:アナトール・フランスの「天使の反逆」による32の小品』より)/ケクラン
- 星夜への哲学者の讃歌 op.200-17 (『ネクテールの歌 第3集:守護神への祈り、行列と踊りによる32の小品』より)/ケクラン
- アレグレット (アダム・エーレンシュレーゲルの戯曲『アラジンまたは魔法のランプ』のための音楽 op.34/FS89/CNW17 より)/ニールセン
- 子どもたちが遊んでいる (ヘルゲ・ローデの戯曲『母』のための音楽 op.41/FS94/CNW18 より)/ニールセン
- シャコンヌ (『30のカプーリス:無伴奏フルートのための現代的奏法による「パルナッソス山への階程」 op.107 より』)/カルク=エラート
- ソナタ・アパッショナータ 嬰ヘ短調 op.140/カルク=エラート
- ダイアフォニック組曲第1番/クロフォード=シーガー
- 密度21.5/ヴァレーズ
- 牝山羊の踊り H39/オネゲル
- 8つの小品/ヒンデミット
- 3つの小品/フェルー
- パッサカリア/ドホナーニ
- セクエンツァ (1958年版)/ベリオ
- 冥/福島和夫
参考演奏
神田勇哉さん(東京フィルハーモニー管弦楽団首席奏者)の演奏です。